ふるさと納税でまぼろしの「日本蜜蜂ハチミツ」を食べてみた

ハチミツといえば、下半身裸というエキセントリックなファッションでおなじみのクマのナントカさんの大好物で、ナントカランドではナントカさんのハニーナントカが人気のアトラクションとなっているほどだが、彼の右手はさぞかし高価な中華食材となるにちがいない。なんでももらえるふるさと納税といえども、さすがに「熊の手」を提供する自治体はないが、ハチミツのほうならけっこうある。そして私たち人間も、クマに負けず劣らずハチミツが大好物だ。
われわれ調査隊もハチミツが大好きだ。ということで、今回の「やってみた」はハチミツをテーマにお届けしたい。ただし、特産品を探すにあたり、ひとつの条件を設定した。それは、その蜜の収集者が「ニホンミツバチ」であること。これはなかなか高いハードルだ。

がんばれニホンミツバチ!

ニホンミツバチはトウヨウミツバチの亜種で、日本在来のミツバチだ。5000年前のエジプトですでにおこなわれていたという養蜂は、日本にも古くから伝わっており、『日本書紀』にも記述が見られる。巣箱を使った養蜂は江戸時代以降で、明治の文明開化により西洋の養蜂技術が入ってくると一気に近代化し、このときライバルのセイヨウミツバチが大挙して日本にやって来たのだった。
近代化の波にいまいち乗れなかったニホンミツバチの養蜂は、飼育の難しさや採取量の少なさゆえに、たちまち少数派になってしまう。そして現在、安価な輸入ハチミツが大量に流通し、セイヨウミツバチ派も含めて日本の養蜂産業そのものが大幅に縮小しているなか、ニホンミツバチ派の養蜂家はきわめてレアな存在になってしまった。
しかしながら、希少価値は地域の特産品にとっては大きな武器だ。ふるさと納税の謝礼品にも、ニホンミツバチのハチミツをいくつか見つけることができる。われわれ調査隊は、そのなかから奈良県吉野町の「日本蜜蜂ハチミツ(450g)」に目をつけた。吉野といえば「吉野の桜」や「吉野杉」。ハチミツと直接の関係はないかもしれないが、植物ゆたかな吉野のミツバチたちは、きっとよい蜜をしこたま集めているだろうと期待が高まらざるをえない。


吉野の森の純粋ハチミツ

奈良県吉野町のふるさと納税は、システム的には特筆すべき点はないが、メールでの問い合わせに迅速かつ丁寧に対応いただいた。2月後半のことで、申し込むなら謝礼品が増える新年度まで待ったほうがよいとまでアドバイスしてくれた。われわれ調査隊の食い意地はそれを待ち切れず、せっかくのご厚意をふいにしてしまったが、とても好感の持てる対応だった。
寄附は吉野町のサイトからクレジットカードでおこなったが、F-REGI(エフレジ)という外部システムを利用している。フォームから申し込むと、寄附用のページのURLがメールで送られてくるので、そのページのフォームからあらためて寄附をおこなう。ひと手間かかるが、特に難しいことはなく、ふるさと納税が完了する。


はちみつ配送画像

10,000円の寄附をしたのが2月の下旬。ハチミツが届いたのが、配達希望日時どおりの3月上旬。日時を指定しなければ、もっと早く届くかもしれない。
梱包は簡素で、商品の箱を包装紙でつつんだだけというシンプルさ。発送元は製造者の吉野ハニーさんではなく吉野町役場からだった。宅急便の品名にしっかり「日本蜜蜂ハチミツ」と書いてあるのが、なんだか頼もしい。
包装紙を脱がすと、黄色い箱が現れる。お花の柄に「純粋 はちみつ」と書いてある。英語で「Pure Honey」とも書いてある。そう、吉野のニホンミツバチのハチミツは、「純粋さ」が売りなのだ。
箱のなかにはビニールに入ったハチミツの瓶。ラベルには「世界遺産の地、吉野で生まれた 日本蜜蜂 天然ハチミツ」とある。吉野から熊野にかけての「紀伊山地の霊場と参詣道」はユネスコの世界遺産に登録されているが、その国際的に価値ある土地でせっせと蜜を集めたニホンミツバチたちのハチミツが、この瓶に凝縮されている。


吉野ハニー画像

見たかんじ、一般的なハチミツよりも色が深く濃い。ハチミツの色は、蜜を採る花の種類によって大きく変わるが、このニホンミツバチのハチミツは「百花蜜」と言って特に花を限定していない。そしてその色は、琥珀色を超えて、樹液そのもののような重みのある色をしている。「純粋」なハチミツの濃厚な味わいを期待させる色だ。


ピュアなハチミツを実食する

瓶のフタをあけ、スプーンですくい取ってみた。見た目の濃密さとは裏腹に、びっくりするほど粘りがない。スプーンをかたむければ、さらさらとすべり落ちてゆく。白い小皿に落としてじっくり観察してみると、ほのかな琥珀のグラデーションが美しく、ぼってりした重量感もなく、見た目にもさらりとした印象を受ける。


蜂蜜アップ画像

さて、実際に食べてみよう。小皿からハチミツをすくってなめてみた。舌に触れた瞬間、純粋ハチミツの濃厚さに対する期待は完全に裏切られた。口あたりは上質な黒蜜のようで、舌の上でさらりと溶ける。甘さはひかえめで、むしろ柑橘系のすっぱさが目立つ。しかし後味にはパッと弾けるように花の香りが残される。なんの花かはわからないが、たしかに花の芳香だ。期待したものとはまったくちがったが、なるほどこれはきわめて品のよい、高級ハチミツの風格がある。


蜂蜜調理画像

ハチミツは、やはりパンと合わせて食べてみたい。焼いたフランスパンにバターを塗ったものを用意して、ニホンミツバチのハチミツをかけてみた。ハチミツというよりも、ハチミツ風味のシロップといった存在感であり、フランスパンやバターに負けているとも言える。これは少々、食べ方をまちがえたかもしれない。われわれ調査隊のほうも純粋になって、食パンを軽く焼いただけのピュアなパンを用意したほうがよかったかもしれない。


純粋さを愛せる人におすすめ!

奈良県吉野町のふるさと納税でゲットしたニホンミツバチのハチミツは、たしかに、まじりっけなしの「純粋」なハチミツだった。そしてそれは、よくも悪くもインパクトのない味だった。調整をくわえていないピュアなハチミツは、本来こういうものなのだろう。添加しまくりの甘ったるい市販の輸入ハチミツとは、概念からして異なるにちがいない。


ハチミツ画像

純粋さとはそういうものだと理解した上で、毎朝のトーストのおともにするならば、満足できる上質な味わいであるし、なによりヘルシーだ。1瓶450gもあるので、長らく楽しめるだろう。「日本蜜蜂ハチミツ(450g)」は、朝の食卓を優雅かつ健康的にいろどりたい人におすすめの特産品だ。


2015年9月28日

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