ふるさと納税で謎のお米「金田一う米」を食べてみた

ふるさと納税でプレゼントされる特産品のなかで、もっともポピュラーかつスタンダードになっているのが、われら日本人の主食たる「お米」だ。各地方にそれぞれの自治体がプッシュしているブランド米があり、コシヒカリのようなド定番からマイナーな銘柄まで非常にバラエティに富む。われわれ調査隊にとっても、どれをレビューしたものか、かなり悩まされたが、会議に会議をかさねた結果、名だたる有力米を押しのけて選ばれたのは岩手県二戸市の「金田一う米」。選出の理由は……ヘンテコな名前が気になったから。

ジッチャンの名にかけて「金田一う米」の謎を解く!

金田一う米。読み方は「きんだいちうまい」である。「うまい」の部分はダジャレであるが、ダジャレとして「うまい」のかどうかはあえて批評しない。文章的な意味は「金田のなかで、もっともおいしい」と取れるが、この場合の「金田一」は地名だ。二戸市の金田一温泉といえば、座敷わらしが出ると噂の旅館があり、火事で全国的なニュースにもなったので聞いたことがある人も多いだろう。ちなみに岩手出身の高名な言語学者・金田一京助(金田一秀穂さんの祖父)の先祖の土地でもあり、横溝正史は彼の名を借用して名探偵・金田一耕助を生み出した。その孫が活躍する漫画およびアニメの『金田一少年の事件簿』も大ヒットした。
妖怪と探偵という、じつにミステリアスな要素にいろどられた「金田一」だが、「う米」のダジャレ感覚から推理すると、単に地名を冠しただけではなく、世界一とか日本一の語感を意識したにちがいないとの嫌疑は避けられないだろう……。
名前の謎はさておき、「金田一う米」は品種のブランドではなく、金田一で生産された米につけられた、いわばレーベルであるようで、今回ふるさと納税でいただいた品種は「いわてっこ」だが、ほかに「あきたこまち」バージョンもあるようだ。「いわてっこ」は、「ひとめぼれ」と「こころまち」を両親として平成13年に誕生した岩手特産品種。寒さと病気に強く、親それぞれのよいところをよく受け継いでいるという。
なにはともあれ、金田一う米が本当に「う米」のか否か、実際に食べてたしかめてみよう!ふるさと納税調査隊の名にかけて!

届けられた6つの小袋が事件の始まりを告げる

二戸市へのふるさと納税をおこなったのが2014年11月初旬。それから18日後に納税証明書と二戸市長さまからの御礼状が郵送され、商品はその4日後、月末に到着した。3週間ほどかかっているが、さほど遅くはないと言える(月末に一括処理している可能性もある)。

金田一う米の開封画像

梱包は質素な段ボールで、開封するとすぐにお米たちが姿を見せる。お米に特別な梱包は必要ないので、むしろ好感が持てるパッケージングだ。米は6つの袋に分かれており、巣にひしめくヒナ鳥たちのように「いわてっこ」のラベルを愛らしく踊らせていた。

金田一う米商品画像

袋ひとつあたり、1.2kgのお米が入っている。計7.2kgとなり、約48合に相当する。お米は10,000円の寄附で5kgというのが標準なので、量にけっこうなお得感がある。ひとり暮らしなどでは、なかなか消化しきれないが、小分けされている点はありがたい。「金田一う米」と大書されたラベルには解説があり、金田一という土地はその名の通り、黄「金」に彩られた「田」んぼが「一」面に広がっているそうだ。ここにも少し、お得意のダジャレ感覚が含まれていそうだ。

金田一う米調理画像

さっそく袋をひとつ開ける。なかば透き通った乳白色の米粒がザラザラと音を立てる様子は、日本人の心を豊かにしてやまない。ボウルにあけて洗うと、みずみずしく照り輝くお米たちとなった。われわれ調査隊は、一般的なごはんと比較するため、それをごく普通の炊飯ジャーでごく普通に炊くことにした。

「う米」か否か……事件の真相に迫る!

私たち日本人は、お米に関しては、日ごろからかなり上質なものを口にしている。炊き立てごはんを目の前にしても、さほど大きな感動はないのが正直なところだ。ジャーのフタを開けたとき、立ちのぼる湯気とともに、独特の芳香がただよったが、べつだん新鮮な驚きはなかった。こんなことにいちいち感激していては、米食民族なんぞつとまらない。

金田一う米炊飯画像

しかし、あらためてまじまじと炊き立てごはんを観察してみると、その美しさを再発見する。銀シャリとはよく言ったもので、ただの白ではなく、白銀の輝きだ。いわてっこの特性なのか、色つやが鋭くキリッとした印象を受ける。それがまた金属的な光沢をいっそう冴えさせているかのようだ。

金田一う米炊き立て画像

おわんによそって、ごはんだけを食べてみた。やはり見た目の印象どおり、キリッとした味わいだ。歯ごたえはやや硬く、もちもち感はなく、甘みもおさえ目で、いかにもスッキリとした味だ。米粒ひとつひとつにたしかな存在感があり、お米を喰ってるなあという実感に満たされた。メジャーな品種で言えば、コシヒカリに近いだろう。普段あきたこまちのような、もちもち系のお米に親しんでいる人は、けっこう新鮮な食感をおぼえるかもしれない。
おかずとの相性はどうだろうか。ということで、われわれ調査隊が用意したのは丸美屋の定番ふりかけ「のりたま」だ。かけて食べてみたが、いまいち相性はよくなかった。このお米は、カレーなどのような、味の主張が強いものをよく支えるように思われる。硬めの歯ごたえも、カレーのルーなどの液体に負けない頼もしさを想像させる。

金田一う米アップ画像

さて、最終的に、この「金田一う米」が本当に「う米」かどうかだが、われわれ調査隊の結論としては、「普通にう米!」と判断させていただきたい。悪い点は一切ないし、かと言って特別すごいというような点もなく、とてもよくできたウェルメイドなお米である。

そして事件は解決へ……ふるさと納税の醍醐味とともに

われわれ調査隊は、珍名であるがゆえに「金田一う米」を選び、その珍名の特産品をもらえるがゆえに岩手県二戸市へのふるさと納税をおこなった。こういう出会い方ができるのも、ふるさと納税ならではだろう。もし通信販売だったら、ハズレたら怖いので、購入しようとはしなかったにちがいない。幸いにして、「金田一う米」は普通に通販で買ってもよいくらいのお米だったが。
特にお米となると、毎日の主食なので、当然、保守的になる。いつも家で食べているのと同じブランドのお米を、ふるさと納税でお得にゲットするのも、もちろん賢い方法だ。けれども、あえて冒険的なチョイスをしてみるのも、楽しいふるさと納税の利用方法として大いにおすすめしたい。そうして、縁もゆかりもない土地の見知らぬ特産品たちと、意外かつ素敵な出会いができることを祈りながら、われわれふるさと納税調査隊は今後も数々の謎を解き明かしてゆくつもりである。


2015年8月31日

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