ふるさと納税で最高級ブランド和牛「神戸牛」を食べてみた

ふるさと納税でもらえる特産品のなかでも、いわば「ツートップ」と呼べそうな人気を誇っているのが米と牛肉だ。しかし毎日の主食であるお米が、量などによってお得感を競っているのに対し、牛肉のほうは高級感で勝負している感がある。量と質とで好対照をなしているわけだが、量はともかく、質のほうは実際に食べてみないとわからない。
ならば「やってみた」シリーズ第1弾として、まずは高級牛肉の質とやらを検証してみよう! ということで、われわれ調査隊は、泣く子もだまる最高級ブランド和牛「神戸牛」にターゲットをしぼった。

兵庫県神戸市で本家「神戸牛」をゲット!

「Kobe Beef」として世界的にも有名な「神戸牛」は、兵庫県特産の黒毛和牛「但馬牛」のなかから非常に厳格な基準をクリアした牛だけにあたえられる別格の称号だ。ふるさと納税においても、但馬牛を提供する自治体は兵庫県内に少なくないが、神戸牛となるとごく限られてしまう。そして当然ながら、条件となる寄附金額もお高い。
わずかな選択肢から、われわれ調査隊が白羽の矢を立てたのは、神戸牛のご本家、兵庫県神戸市のふるさと納税。「神戸牛 特選焼肉セット 500g」だ。これを贈呈していただくために必要な寄附金額は、じつに50,000円!……清水の舞台、いや、神戸ポートタワーの展望台から飛び降りるつもりで、神戸市の公式サイトからふるさと納税を申し込んだのだった。

神戸牛 特選焼肉セット 500gの開封前画像

2015年1月の中旬にふるさと納税をおこなって、商品が届いたのは2月のなかば。手続きに特に問題はなく、指定した日時に、提供元の神戸元町 辰屋さんから神戸牛が送られてきた。クロネコヤマトのクール宅急便で、あざやかな牛肉の写真をあしらった外箱のまま届く。箱をあけると保冷剤の下にさらに箱。添えられた「神戸肉之証」に期待が高まらざるをえない。この証書にはロット番号までふられている。

神戸牛 特選焼肉セット 500gの開封後画像

桐かどうかはさだかでないが、いかにも高級そうな木製の箱をあけ、われわれ調査隊は神戸牛に対面した。深い赤色に染まったランプと、桜色のやわ肌に霜ほとばしるサーロインが、木箱のなかで身を寄せ合う様子は、否が応でも雑食動物の食欲をたかぶらせる。

神戸牛のランプは別次元の赤身

ランプとは、サーロインの後方につづく腰から尻にかけての部位で、やわらかい赤身が特徴。まずはこちらから頂戴することにして、付属の牛脂で焼く。赤身といっても神戸牛ゆえなのか、かなり脂が入っており、フライパンの上でパチパチと軽快に音を立てて香ばしい。たちまち赤銅色に焼きあがり、ぷるぷるつやつやの肉感たっぷりな姿となった。

神戸牛ランプの調理画像

肉そのものを味わうために、塩コショウだけで食べてみる。歯ざわりは赤身と思えないほどやわらかく、スジばった感触は一切ない。噛み切るたびに肉汁が口中を飛び、舌をうまみが覆う。やはり脂が多めで、血なまぐささも一切ない。さすが神戸牛は赤身もひと味、いや、ふた味はちがうようだ。

神戸牛ランプの焼肉画像

赤身が好きな人にとっては、赤身らしからぬがゆえに、不満があるかもしれない。少し血のにおいがするくらいがよいというワイルド派の肉食家には、神戸牛はおすすめできない牛かもしれない。一方で、他の牛肉とくらべるのに、ランプという部位は最適とも言えるだろう。われわれ調査隊は、この次元の異なる赤身を存分に楽しませていただいた。

和牛最高峰の頂上にいざなうサーロイン

フライパンの上にいるときから、それが調査隊をさらなる高みに連れて行ってくれるだろうことは容易に予測できた。大理石の紋様のような脂の結晶が熱に浮き上がり、溶け落ち、えも言われぬ芳香を放つたび、ランプで満たされたはずの腹は、この新たな賓客をむかえ入れるために大あわてで空きスペースを作る。やがて霜は完全に融け去って、あでやかな光沢をまとった魅惑の焼肉へと生まれ変わった。

神戸牛サーロインの調理画像

このサーロインも同様に、塩コショウだけで食べてみた。ランプの時点で予感されていたことではあるが、歯を入れた瞬間にほとばしる脂の濃厚な刺激は想像以上だ。官能的すぎて、けしからんとさえ思えるほどの食感に、濃密な肉のうまみが追い打ちをかけてくる。これはなんとも、けしからん。こんな和牛テロリストは国際社会の敵だ! ただちに輸出を禁じろ!

神戸牛サーロインの焼肉画像

かくも世界の平和を案じて取り乱してしまうくらいに、このKobe Beefサーロインの味を評することはむずかしい。神戸牛の脂は、脂でありながら脂っこくなく、ギトギトすることなく口のなかでもつやつやと輝くようだ。そうして、舌にうまみだけを置いて消えてゆくので、いやな後味を残さない。あまり脂っこい肉は好きでないという人にも一度は味わってほしい牛肉だ。そして、ギトギトの脂っこい肉が好きだという人には、これまた異次元の世界をおしえてくれる牛肉になりえるだろう。

ふるさと納税でぜいたくするなら

神戸市の「神戸牛 特選焼肉セット 500g」は、高級志向の牛肉界でも特に極端な例だと言えそうだ。お得感というものはまったくない。50,000円という寄附金額を思えばなおさらに、これはふるさと納税という制度を利用して一生に一度か数度かの「ぜいたく」を味わうためにあるような一品だろう。
ちなみに、500gということだったが、食べる前に計測してみたところ、ランプは317g、サーロインは276gも入っていて、そういう意味では少し得した気になる。さらに後日、おまけとして、グリコ『神戸ショコラ』濃厚ミルク3袋、ゴーフレット3袋が届き、ちょっと得しないではなかったが、これらは近所のスーパーで売っているものと変わりないグリコのチョコレートだった(現在お菓子のプレゼントは終了した模様)。
ぜいたく品なので万人におすすめすることはできないが、神戸市にふるさと納税を考えているなら、神戸牛を検討してみてはいかがだろうか。またもちろん、ふるさと納税を機会に、なにかぜいたくなものを食べてみたいという人にも、神戸牛は最適な候補のひとつになるだろう。残念ながらこの「神戸牛 特選焼肉セット 500g」は、4月の商品入れ替えでふるさと納税の謝礼品から消えてしまったが、他の神戸牛のラインナップは残っているので、ぜひチェックしてみていただきたい。


2015年7月8日

神戸牛以外にも人気の牛肉のふるさと納税特産品はこちらから見つかります→牛肉の特産品還元率ランキング