ふるさと納税で超有名ブランドいちご「あまおう」を食べてみた

これまで肉や米、野菜、魚介類など数々の特産品を勝手にレビューし倒してきた「やってみた」のコーナーだが、まだひとつビッグなジャンルが残されている。その大物とは、すなわち「果物」だ。
果物は野菜とさほど傾向が変わらず、基本的に期間限定品になってしまうという大きな障害がある。また、野菜よりもブランド価値を前面に押し出している感があり、量より質を志向している雰囲気。では、質を誇るブランド・フルーツを味わってみようと、われわれ調査隊は、イチゴ界の有名ブランド「あまおう」に目をつけた。

九州最大の都市圏・福岡県のふるさと納税

「博多あまおう」とも呼ばれるように、あまおうは福岡県限定ブランドであり、県内の自治体の多くで、ふるさと納税の謝礼品になっている。期間は12月から4月と、意外と長いが、2月前後がピークであるようだ。今回は、市町村ではなく福岡県に10,000円の寄附をすることで、「あまおう」(300g×2パック)を頂戴することにした。
福岡県のふるさと納税は、率直に言って、あまりヤル気が感じられない。関東の都県なみのヤル気のなさだ。なにしろ九州最大の都市圏を擁する県なので、税収もうるおっているのだろう。この時点で、鳥取県のような健気なガンバリ屋をひいきしがちな調査隊としては、いささかイケ好かなく思わないではなかったが、ともあれ2月下旬、県のホームページから申し込みをおこなうと、自動返信メールが届いた。申し込みの「到達」を通知するというメールだった。それから3日も待たせて、申し込みの「受付完了」を通知する自動送信メールがありがたくも届いた。ちなみに、これら自動化された2通のメールには、一切のお礼の言葉もない。べつに感謝されたいわけではないが、一般的な礼儀としてどうなのかと思わざるをえないし、なにしろ九州最大の都市圏を擁する県なので、ああ調子に乗ってフンゾリ返ってやがんなと想像してしまうのも人情だろう。
今回は納付書で支払うことにしたが、それは申し込みの10日後に郵送された。2日後に銀行で支払いを済ませ、その3週間後に「あまおう」が発送された。発送まで一切の連絡はないが、なにしろ九州最大の……(以下略)。
なにはともあれ、申し込みから約1カ月後に、偉大なる福岡県さまから、われわれ調査隊にイチゴ界の最高ブランド「あまおう」がくだされたのだった。


あまい! まるい! おおきい!!

「あまおう」のブランド名は、「甘王」の意味ではない。「あまい」「まるい」「おおきい」「うまい」の頭文字をくっつけたものだ。この4つのアイウエオ作文の項目が、そのまま本レビューのチェック項目になるだろう。


あまおう到着画像

福岡県のあまおうはクール宅急便で到着した。箱には、「品位」が「秀」、「階級」が「DX」と「G」のうち後者を丸で囲っており、生産者のお名前も記されている。イチゴ頭の「大地くん」と「めぐみちゃん」なるキャラクターが笑ってもいたが、大切なのは品位と階級だ。あまおうには厳格なランキング制度があるという。階級は高い順に「エクセレント(EX)」「デラックス(DX)」、「グランデ(G)」と続く。主に大きさや形状に基づくもののようで、デラックスは一般の「2L」サイズに相当し、デラックスの大きさでも形が悪いものがグランデに降格されるというようなランクづけがされているそうだ。これぞ「あまおう」というほどの大きさはエクセレントでなければお目にかかれないのかもしれない。今回のは、「G」が丸で囲ってあることからグランデだと思われるので、あまり見た目に期待はできない。


あまおうパッケージ画像

とはいえ、箱を開けてイチゴを目にしたときの第一印象は、「なるほど大きい!」だった。チェック項目のうち「おおきい」は早々にクリアしたわけだ。2つのパックで構成されているが、1パックの重さは330g。イチゴ1粒あたり30g程度ある。大きさを測ってみると、縦横3~4㎝あった。びっくりするほどではないものの、「おおきい」と認定してよいだろう。縦横の長さがあまり変わらないので「まるい」もクリアしたと見なすことができる。


あまおう輪切り画像

しかしながら「あかい」はどうだろうか。イチゴが赤いのは当たり前だが、さほど赤くはない気がする。色つやは充分にあざやかであるものの、マッカッカと言えるほどには赤くない。ところが、包丁を入れて断面を見てみたとき、「あかい」の意味するところがより深いことに気づかされた。あまおうの断面は、果肉の芯までしっかり赤かったのだ。これはもう兜を脱いで「あかい」と認めざるをえない。
さて、残る項目こそ重要だ。あまおうが本当に「うまい」かどうか。われわれ調査隊はその最重要項目の判定に移った。


「うまい」の「う」は「あまおう」の「う」……?

あまおうを食べてみた率直な感想を述べると、「ふつう」だ。「あまおふ」と改名したほうがよいような印象だった。あかくてまるくておおきいが、普通に甘ずっぱいイチゴであった。


あまおうアップ画像

詳しくレポートすれば、香りが強いという特徴がある。風味はゆたかであり、非常にみずみずしい。まるごと口にふくむと、ジューシーに果汁がはじけ飛んでくる。しかし水分に富んでいるわりに、べしゃっとした水っぽさはない。標準的な甘さの後味に、すっぱさが残る。大きさゆえの食べごたえは満点ながらも、いさか大味な感は否めない。よくも悪くもワイルドな食感であり、繊細な味ではまったくなかった。


あまおう練乳アップ画像

けっきょく、われわれ調査隊は、すべてのあまおうをたいらげるために、練乳の出動を乞うことになってしまった。万一のそなえだったので、これはなかなか残念な結果だ。


ふるさと納税でおいしい果物をゲットするには?

まさかの「ふつう」という結果に終わってしまった今回のあまおうだったが、逆に考えると、この大きさにして普通レベルを維持しているという事実に、あまおうのポテンシャルを見るべきなのかもしれない。より高いランクのあまおうならば、もっと感動的な「うまい」に出会えたのではないだろうか。


あまおうアップ画像

福岡県のホームページには、この「あまおう」の品位および階級に関する記述はなかった。他の自治体のあまおうにも、これらのデータが公開されていないことが多いようだ。通信販売ならありえないことだが、ふるさと納税の謝礼品には珍しくない。いろいろ事情があるのだろうけれども、果物をゲットする際には、開示されている細かな情報を吟味することが、よい特産品に出会う秘訣となるのかもしれない。


2015年10月12日

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