ふるさと納税問題点
ふるさと納税の問題点は大きく2つのグループにわけることができます。 ふるさと納税をする住民側とふるさと納税を提する自治体側です。 それぞれの立場からみえる問題点は、今後ふるさと納税を拡充する上で改善する必要があるのではないでしょうか?
住民側(ふるさと納税をする側)
全体的に利用する上での問題が多く、利用者を増やす場合は下記問題を解決することが望ましい。
ふるさと納税の仕組みが複雑である
結局どうすればお得なの?という意見が多いのがふるさと納税の現状といえます。
税の計算をあまりしない人にとってはる寄附金控除の仕組みは非常に複雑であり、個人の収入や環境で変わる寄付金額控除はわかりにくいです。
また税金の控除は結果的に節税しているのですが、所得税はふるさと納税を利用した年から軽減を受けられるのに、住民税は前年課税方式を採るので
翌年度分の納税から軽減されるので、寄付した時期と控除を受ける時期が離れているので恩恵をうけている気になりづらいです。
確定申告が必要である
サラリーマン家庭が大半の日本では確定申告を行う人は少ないです。ふるさと納税をおこなったら必ず確定申告しないと寄付金控除を受けれません。
確定申告の経験がない人には大変手間となっており、利用する上でハードルが高く、確定申告を忘れ寄付金控除を受けれなかったというケースもあります。
サラリーマン家庭をターゲットに年末調整で生命保険控除のように、ふるさと納税も対象とすれば利用者がもっと増えるのではないか?と思います。
控除額の最低金額(2000円)がある
以前は最低の自己負担金額は5000円でしたが、平成24年度から2000円に引き下げられました。
それでも高いという声があります。そもそもふるさと納税は自らが生まれ育った地域への税の還流です。
ふるさとに貢献したい気持ちを出来る限り応援する制度です。少しでも足かせになるものはなくした方が良いという意見があります。
中途半端な金額があるよりは思い切って0円にして、もっと利用者を増やすべきだという意見もあります。
自治体側(ふるさと納税をされる側)
ふるさと納税そのものに異議があるものや解釈の問題が多い。
法律上の問題
「ふるさと納税」は受益者負担の原則に反すると言われています。
かんたんに説明すると、住民は住んでいる自治体に住民税などを納税します。納税することにより自治体から行政サービスを受けることができるのです。
街の図書館や公民館は税金で成り立っているのです。ふるさとの納税を利用することにより、一部の税金を他の自治体に納め、
住んでいる行政のサービスを受けるのはおかしいということです。
また税収が減った自治体では行政サービスが満足に提供できなくなる可能性や、ふるさと納税を行わず全額を自治体に納めている人は明らかに不利益になります。
特に都市部の自治体は本来入るはずの税収が入らないことで満足に行政サービスを提供できることはできないと反発の声も上がっています。
受益に応じた負担という地方税の理念(応益原則)に矛盾したシステムといえなくもありません。
自治体の格差
ふるさと納税を行う自治体間で勝ち組と負け組みがはっきりとしています。ふるさと納税を行う理由で特産品目当の方が多いのは事実です。
この特産品に良いものがない自治体はどうしてもアピール不足になり、期待したほどふるさと納税が集まりません。
最終的に全地域が活性化できるように
できたばかりの制度なのでいろいろな問題や意見があるふるさと納税ですが、
ふるさと納税の根本的な意義である「ふるさとの大切さを再認識」することには役立っているのではないでしょうか?
※ふるさと納税が地方団体間の税収格差の是正になるとの期待は国は持ってません。
納税者が使い道を選択できるという世界的にみても初の画期的な制度であり、納税者は税金の使い道に関して考える良い機会になります。
人材を養育することのほかにも、都会に食料を供給し、森林や河川など貴重な自然環境を維持しているのも地方であり、それがなければ都市部も成り立ちません。
なんらかの形で地方の貢献したい人がいる中で、ふるさと納税の制度は手軽に応援できる制度です。
またふるさと納税をきっかけに自治体間での競争意識が刺激されます。
自治体は積極的にアピールする必要がありますし、集めたお金がどのように使われているか、どのうような成果になったのかきちんと報告する義務も出てきます。
ふるさとの地方団体と住民に、納税をしてもらうに相応しい地域のあり方をあらためて考えてもらう貴重な機会となるはずです。
いろいろな問題がありますが、最終的に全地域が活性化できるようになることを目標に改善していくことを期待しています。